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2008年10月時点において書いています。
その旨をご理解の上、お読み願います。

シティグループのサムライ債

シティグループ(citi・シティバンク)が、3150億円にも及ぶ大型のサムライ債を発行予定し、日興コーディアル証券とシティバンク銀行が、その募集を行っていましたが、募集終了した2008年9月末になってシティグループが、米ワコビアの銀行業務を救済合併(買収)するために、その発行を延期すると発表しました。ところが10月3日になって、ワコビアの買い手がシティグループ(citi・シティバンク)からウェルズ・ファーゴという、アメリカの大手銀行に変更された旨がアナウンスされたのです。それに対してシティは契約違反だと反論しています。

二転三転とめまぐるしく状況が変更しております。シティグループ(citi・シティバンク)のサムライ債の発行延期の解除の可能性もありますが、先行きがまだ明確ではありません。今後のシティ(シティーバンク)の動向が気になるところです。

円建て外債

2008年、日興コーディアル証券株式会社が約4年半振りに発売した事でも話題になっている個人向けの円建て外債は「サムライ債」と呼ばれています。

「円建て外債」とは、外国の国や企業などが日本国内において円建てで販売する債券の事です。国内債券とも似ています。為替リスクが比較的低いので、同じ投資を行うなら、FXや株、そして外債よりも安定していて安心ではないかと考えられています。その反面、利回りが低いので大きな利益を上げたい人には、物足りない、もどかしい部分があるかも知れません。

とはいえ、現状においては普通に定期預金をするよりも利回りは高く、それでいて比較的安定性があると言う要因もあり、個人投資家の話題と人気を集めています。

日興コーディアル証券

日興コーディアル証券は、シティバンク(citi)で知られるシティグループ傘下の企業ですが、個人向けのサムライ債の発売を行っています。2008年には、コモンウェルス銀行(4・5月、豪)、シティグループ・インク(6月、citi・シティバンク)、ウエストパック・バンキング・コーポレーション(7月、豪)といったサムライ債を取り扱っています。コモンウェルス銀行の債券については「つくしんぼ」という、可愛らしい愛称が付けられています(08.10月現在)。

需要と供給

サブプライム・ローン等の影響を受けた市場において、FXや株などで苦戦している個人投資家が、サムライ債に注目しするのはもっともであると思います。また、日本市場はサブプライムの影響が欧米よりも低いとされており、また比較的低金利であることから、外国企業等が資金の調達を行おうとサムライ債の発行をしているようです。つまり現在の債券市場は、発行体と投資家との利害・思惑が一致した様相を呈しているとも考えられます。2007年の発行総額は2兆円を超えており、2008年においてもそれを上回る勢いなのだそうです(08.10月現在)。

リスク

世界的に金融不安が拡散し不透明感がある現状において、常にリスクを考えておかなければいけません。まず債券価格は、市場金利の変動によって変わる事があり、元本を割り込むリスクがあります。それと、更に注目すべきは、企業等の債券の発行体(発行者)の経営や財務の状況や、スタンダード&プアーズやムーディーズといった、有力格付け機関の外部評価です。

デフォルト

約7年前にはアルゼンチン国債が、同国の経済的状況の悪化に伴い債務不履行(デフォルト)に陥りました。この時には約3300億円が発行されており、何万人もの国内個人投資家の方たちが影響を受けました。2008年9月には、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの破綻に伴い、リーマンのサムライ債がデフォルトとなりました。リーマンのサムライ債は、償還期間を5回に分けて1950億円発行されています。2008.10月時点で、リーマンの弁済額等については確定していません。なお、シティバンクの延期・中止問題も注視すべき点です。

債券の名前

明治維新の開国以来、商品等に「日本をイメージさせる日本ぽいネーミング」を行う場合、「フジヤマ、ゲイシャ、ニンジャ、サムライ」といっ た単語が未だに使用されます。

このセンス、どうにかならないのかな、と個人的には思う訳ですが、日本を想起する分かりやすい単語である事は確かです。ちなみに、外貨建てで外債発行した場合は「ショーグン債」と呼ばれる事があります。

ちなみに2008年は、ウエストパック・バンキング・コーポレーション、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド、タイ王国などの機関投資家向けのサムライ債が多数発行・販売されており、好調なのだそうです。

以上、2008年10月記

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